要旨
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1970年代以降、新興国企業の台頭や日本国内の人件費の上昇による労働集約的産業の衰退を背景に、繊維メーカー各社は高付加価値製品の開発に取り組んでいた。本ケースが取り上げる「ダイニーマ」は、基礎技術開発を担うDSM(オランダの化学企業)と、工業化技術の開発を担う東洋紡(日本の繊維企業)が合弁事業として、両社が経営資源を補完し合うことで生み出された、従来の繊維よりも高強力で、多様な分野で使用される繊維素材である。本ケースは、両社が合弁事業による経営資源の補完を通していかに高付加価値を創造したかを整理することで、日本企業が直面する高付加価値製品の開発と外部の経営資源の活用という2点に対して貢献を与えるものである。
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