要旨
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「コエンザイムQ10(CoQ10)」は従来、心臓病の医薬品として処方されていた成分であったが、欧米諸国で美肌やアンチエージングのサプリメントとして大ヒットし、日本でもブームを巻き起こした。その消費量は今後も世界的に増え続けると予想されている。しかし、全世界で消費されるCoQ10原料のほぼすべてが日本で生産され、日本が世界で初めてCoQ10の量産化を実現したという事実はあまり知られていない。このイノベーションを実現した日清製粉の化学事業部門(現・日清ファルマ)は、ビタミンの研究と量産化で培った技術とノウハウを生かして、複雑な化学合成を克服し、医薬品、健康食品分野への進出を果たしていく。本稿では、同社のCoQ10の量産化と事業化のプロセス、将来の課題についてたどる。
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