要旨
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1970年代半ば、米国では悪化する大気汚染への対策として、自動車のエンジン制御にマイコンが本格的に使われ始めた。なかでも、フォードが発売したリンカーン・ベルサイユでは、点火時期と排ガス還流の両方を制御する画期的なマイコンが搭載された。このマイコンを開発したのが、東芝であった。これは自動車へのマイコンの本格的応用の幕開けを飾る革新であり、東芝の自動車向け半導体ビジネスの発展の礎となるものであった。処理能力、サイズ、耐久性、価格のいずれの面でも時代の最先端のシステムであった。本ケースでは、東芝が世界に先駆けてこのマイコンを開発・実用化していったプロセスをたどる。
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